睡眠中のこのような症状を指摘されたことはありませんか?
- 高い声を出していることがある
- うめき声を出す
- 苦しそうな様子がある
- うなるような声がする
- 喘ぐように空気を吸っていることがある
- しばらくの間、呼吸していないことがある
- うるさいいびきで目が覚めてしまう
いびきについて
睡眠中に狭くなった気道に空気が通る際の振動によって生じます。気道の狭窄が強くなるといびきが激しい音となり、隣で寝ている方を起こしてしまうこともあります。ご自分のいびきで目が覚めることはほとんどありませんが、呼吸が苦しい状態であり、低酸素状態が続くことで睡眠の質が下がり、QOLを大きく損ねます。
睡眠中には全身の筋肉がゆるみますが、上向きに寝ていると舌などが喉の方に落ち込んで気道を狭め、いびきを生じます。顎の形状や肥満、扁桃の肥大などによって舌周辺の軟部組織が舌と一緒に落ち込んで気道を完全に閉塞させることで、無呼吸を何度も生じさせる睡眠時無呼吸症候群を発症することもあります。睡眠時無呼吸症候群は、QOLを下げるだけでなく、深刻な疾患の発症・進行リスクを上昇させる疾患ですので、適切な治療をお早目に受けることが重要です。
また、いびきがあって睡眠時の無呼吸がない場合には、睡眠関連呼吸障害のカタスレニアが疑われます。
当院ではご自宅で睡眠時の無呼吸状態の有無を記録できる簡易検査を行い、適切な治療につなげていますので、いびきを指摘されたら早めに当院までご相談ください。
睡眠中の喘ぎ・うなり声(カタスレニア)について
睡眠中にうなり声や喘ぎを起こす疾患で、睡眠関連うなり声と呼ばれることもあります。睡眠障害のひとつであり、症状が自覚されることはほとんどありません。また、カタスレニアのうなり声は、息を吐く呼気の際に生じるという特徴があります。
睡眠時のうなり声は、ご家族やパートナーの睡眠の質にも影響します。また、旅行や合宿、寮やシェアハウスでの生活、宿直や仮眠が必要な仕事などに不安やストレスを感じることもあります。
いびきとの違い
一般的ないびきは、主に息を吸う吸気の際に生じます。上気道が狭くなって、吸気が通る際に軟部組織が振動していびきを生じており、狭窄が強くなると吸気だけでなく息を吐く呼気でもいびきを生じることがありますが、息を吐く呼気だけに起こることはありません。カタスレニアのうなり声は息を吐く呼気に起こり、特に長く息を吐いている際に生じやすいとされています。
いびき・睡眠中の喘ぎ・うなり声の検査
睡眠中のいびき・うなり声・喘ぎ、睡眠の質低下などの症状がある場合、当院ではセンサーを装着して就寝し、データを分析する検査を行っています。機器を貸し出しますので、ご自宅の就寝中に検査が可能です。この検査では、無呼吸の有無や回数などを調べることができます。
いびき・睡眠中の喘ぎ・うなり声の治療
放置していると深刻な疾患の発症につながり、QOLを大きく下げてしまう睡眠時無呼吸症候群など、深刻な原因疾患がないかを確かめることが、適切な治療につながります。
睡眠時の姿勢(体位依存)
仰向けに寝ると重力の影響で気道に周囲の軟部組織が垂れ下がって狭窄を起こします。横向きに寝ることが狭窄の軽減につながる可能性があります。抱き枕やクッションなどを使って楽な姿勢を見つけましょう。
寝酒を控える
アルコールを摂取すると全身の筋肉が弛緩します。上気道周辺の筋肉もゆるみますので、上気道の狭窄を起こしやすくなり、激しいいびきにつながります。飲酒は適量までにとどめ、就寝前の飲酒は避けてください。
適正体重を維持する
肥満すると上気道周辺にも脂肪がついて狭窄を起こしやすくなり、いびきの症状が悪化します。肥満している場合、適正体重まで減量し、維持することでいびきの症状の改善につながる可能性が高いとされています。カロリー制限と運動の習慣化によって少しずつ減量し、適正体重を維持することで他の生活習慣病の発症・進行リスクも低減でき、心筋梗塞や脳卒中の予防にもつながります。
なお、適正体重は下記のような計算式で算出できます。
適正体重(kg)=身長(m)×身長(m)× 22
禁煙
タバコの煙には様々な毒性物質が含まれており、喫煙によってその刺激を繰り返し受けることで上気道粘膜が慢性的な炎症を起こして肥厚し、上気道が狭くなっていびきをかきやすくなります。禁煙することで粘膜の状態が改善し、いびきの解消が期待できます。また、喫煙はがんをはじめ深刻な疾患の発症・悪化の危険因子ですので、禁煙は将来の健康にも役立ちます。
マウスピース治療
噛み合わせや顎が小さいなどの問題によって、軟部組織が上気道に落ち込みやすい場合には、マウスピースを装着して就寝することでいびきの軽減が見込めます。患者様に合わせた専用のマウスピースが必要になりますので、睡眠時無呼吸症候群治療の知識や技術を持った歯科医院の受診が必要です。
CPAP療法
機械につながったマスクを装着し、圧力をかけた空気を送り込むことで気道を広げ、就寝中の無呼吸や低呼吸を防止する治療法です。短期間に高い効果を得られ、副作用がないことから、欧米や日本の睡眠時無呼吸症候群治療では、最も多く行われています。この治療では、熟睡感を得られ、起床時の頭痛や倦怠感、集中力・注意力低下や強い眠気など日中の症状も短期間で解消できます。ただし、根本的に睡眠時無呼吸症候群を解消する治療ではなく、あくまでも睡眠中に無呼吸や低呼吸を起こさないようにする目的で行われます。装着しないで眠った場合には再び無呼吸などの症状を起こしますのでご注意ください。
CPAP療法が合わないケースもありますが、現在は機器がコンパクトになり、動作音も静かになっていますので、以前途中で諦めてしまった方もお気軽にご相談ください。
外科手術
扁桃やアデノイドなど、上気道周辺の組織に肥大があっていびきを起こしている場合、摘出手術によって改善が見込まれる場合があります。軟口蓋の一部を切除する手術は、効果の見極めが難しく、さらに手術痕の瘢痕化を起こすと再発する可能性があり、慎重な検討が必要です。